語学力を駆使した事件通訳のやりがい
私は、静岡県警察官として警察本部刑事部国際捜査課に勤務し、国際的な犯罪の捜査に従事しています。
これまで、警察署の交番や警察本部通訳センターという部署に勤務していましたが、県内には中国語を母国語とする方が非常に多く、交番における地理案内などの行政サービスの場や、犯人の取り調べや被害者等からの事情聴取など事件捜査の場等、様々な場面において、中国留学の経験で培った語学力を活かして仕事をすることができました。
主に中国語による事件通訳に携ってきましたが、中国は、文化、習慣等が日本と異なるため、事件捜査は、相手が日本人の場合より困難で、捜査員と相手の意思疎通を円滑にするための高度な語学能力や、常に中国事情に通じていること等が必要とされます。
しかし、状況が困難であればあるほど、自分の語学力を駆使して事件を解決できた時には、人の役にたてたことを実感でき、この上ないやりがいを感じます。
警察官を目指したきっかけ
私が警察官を目指したのは、警察官であった祖父の影響等もありますが、人や社会に貢献できる仕事をしたいという強い思いがあったからです。
京都の高校を卒業後、中国に留学して大学を卒業し、語学力を活かせる仕事を求めて就職活動をしていました。
なかなか自分の希望した職に就けず、悩んでいた時期もありましたが、就職情報誌に北京語に堪能な警察官募集の記事が掲載されていたのを一目見て、「あっこれや!」と思い、すぐに応募しました。
総合的な語学力を測れるHSK
私は、HSK(漢語水平考試)の9級を取得しています。(※注1)中国の大学に入学する際、HSK6級以上の取得が入学条件とされていたため受験をしたのをきっかけに、大学在学中は自分の語学力を測るために毎年受験しました。
私が携った仕事では、相手の話す言葉を正確に伝えなければならず、会話能力はもちろんのこと、相手の話すことを理解するのに必要な聞き取り能力、文章を作成するために豊富な語彙や文章構成力などが必要とされました。HSKは、ヒアリング、文法、読解力、会話、作文等の総合的な語学力を問うバランスの良い試験ですので、仕事に必要な語学力を測るのに大変役に立ちました。
自分の未来を切り開くために
同じ仕事をするにも、1つ特技を身につけるだけで仕事の幅は大きく広がり、その分大きなやりがいを感じることができると思います。
雇用情勢も厳しく先の見えない時勢ですが、目先のことだけに囚われず、新たな物事にチャレンジして皆さんの未来を切り開いてください。
注1 2009年以前に実施されていた旧HSKは、試験の成績に応じて、評価が1~11級に分かれており、現在日本で実施されているHSKとは級設定が異なります。